歯ぎしりによってかみ合わせが深くなった症例


近年ではむし歯が減少傾向にあり、多くの方の歯が残るようになりました。

一方でブラキシズムや酸蝕症などのtooth wearによって、かみ合わせが深くなることが問題となっています。長い時間をかけてゆっくり低くなった咬合高径を急に高くすると

「高い感じが続いている」

「何かしっくりこない」

など、かみ合わせに違和感が残る危険性があります。

従来の補綴治療で違和感が残った場合、簡単に対応することが非常に困難です。

そこで「元に戻せる補綴治療」ができれば、咬合挙上に積極的にチャレンジすることができます。

それを可能にしたのが可逆的補綴治療です。

 


「すり減った歯を治したい」との主訴で来院されました。ブラキシズムが疑われましたが、本人に自覚がなかったためブラックスチェッカーによる検査を行いました。

 

ブラックスチェッカー
ブラックスチェッカーの装着前
ブラックスチェッカー
ブラキシズムによる摩耗を認める

ブラックスチェッカーによってアクティブなブラキサーであることが確認できました。ブラキシズムの自覚が無い方でも、目視で判断することができます。

 

サンドイッチ・プロビジョナルレストレーションの装着
サンドイッチ・プロビジョナルレストレーションの装着

過去の補綴治療では歯が棒のようになるまで削る支台歯形成をして、仮歯でかみ合わせの高さを変更します。この場合、多くの健康な歯を削ることになってしまいます。「削らなければよかった・もとに戻してほしい」と思っても後戻りできません。

そこで可逆的補綴治療である「サンドイッチ・プロビジョナルレストレーション」です。

接着性スプリントを使って、健康な歯を削ることなく咬合挙上することが可能です。しっくりこない場合、取ってしまえば元に戻すことができます。

 


見た目を自然にするために唇側を被覆するデザインに変更しました。可逆的補綴治療であるため、装着後の変更が容易です。

サンドイッチ・プロビジョナルレストレーションで1カ月観察し、咬合挙上に問題が無いことを確認しました。その後、上顎の治療から着手し、プロビジョナルレストレーションで咬合や見た目の再確認を行いました。

 


最終補綴終了後の写真です。本人も満足感を得ることができました。

 

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