左上5番を抜歯し、左上6番の根管治療からファイバーコアによる支台築造、6番から延長させる2ピースのダイレクトブリッジで対応した症例です。たったの2日で完了させました。
静岡県から来院された患者さんです。左上5番と6番にはFMCが装着されており、T-fixによって辛うじて5番を口腔内に維持している状態です。歯肉の腫れ、歯が伸びて汚く見える、金属が見えて気になる、と訴えられました。「インプラントは絶対に入れたくないし、手前の歯を削らないで白い歯を入れてほしい」と希望されていました。
左上5番は著しい歯根吸収を認めたため、抜歯と判断しました。
FMC除去後の写真です。左上5番だけでなく、6番も著しいう蝕の進行を認めます。この時点で6番も抜歯と判断する先生も多いと思います。左上5番の抜歯とともに左上6番の根管治療を施術しました。抜歯窩に異物の混入を防ぐために、ラバーダムは必須です。
次の日に6番の支台築造を施術しました。左上4番は補綴されておらず、ブリッジのためだけに大きく削り込むのはあまりにももったいないです。
そこで左上4番には一切介入せず、左上6番を支台としたダイレクトブリッジを装着しました。普通の治療では最終補綴まで2-3カ月かかるところを、抜歯した次の日にブリッジが入ってしまうのです。そのため、遠方からの患者さんにも対応することが可能です。
約6か月後の経過観察です。痛みや腫れもなく、快適に生活できているとのことで、大変喜ばれておりました。
本来ならインプラントで確実な治療を計画するのが一般的ですが、インプラントが絶対に正しくて安全だとは思いません。複雑で時間のかかる高額な治療よりも、より簡便で侵襲性の低い、費用を抑えた治療で対応できるのなら、それでいいと思います。
最近は患者さんではなく、歯医者さんがインプラントを入れたがっていませんか?歯医者が治療を希望している現実に、強い違和感を覚えます。
・注意事項
症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。
無断複写・転載は一切認めておりません。