オクルーザルベニアを応用することで、根管治療後であっても大幅な健全歯の保存に成功した2年経過症例です。
なんとなく疼く感じがして、膿の臭いがすることを訴えられていました。一見すると問題なくCR充填されているように見えましたが、いざ充填物を除去してみると、根管内部は大量の軟化象牙質・・・。
さらに適切な根管治療を施されていない頬側根管を確認しました。
レントゲン写真が前医院に保管されているため提示できないのですが、デンタルレントゲン上でも問題ないように写っていました。客観的な所見に乏しい場合でも、患者さんの主訴を無視してはいけないことを、改めて実感させられました。
根管治療後のキャビトン仮封の状態です。咬頭及び咬合面はバイトさせないように、クリアランスをとっています。根管治療中にバイトさせると疼痛が出やすいだけでなく、脆弱なところに強い咬合力がかかった時に歯根破折を引き起こす恐れがあります。そのため、健全歯質であっても根管治療の際は咬合面を落とすようにしています。
4壁すべて残っていたため、ポストを付与せずレジンコアで築造しました。
オクルーザルベニアによる修復直後の写真です。
処置としてはエンドクラウンに近いプロセスです。ポスト無しで築造して、軸面を残して修復物を装着しています。
適合が微妙なCAD/CAM冠で修復するか、直接法で一体化させるかの違いです。
ややテクニカルセンシティブですが、インジェクションモールドを使用すれば、それほど難易度が高くはありません。
一般的に根管治療をした歯は棒のようになるまで削り取る「支台歯形成」をしてクラウンを被せます。
この場合、軸面といって噛み合わせる面以外の部分を大幅に削ってしまいます。
健康なエナメル質だけでなく、多くの象牙質まで削ります。
上からスポっと入れるためだけの理由で。
オクルーザルベニアを適応することで、大幅に歯質を温存できます。それだけでなく、即日で治療できるため時間も費用も大幅に節約可能です。
ちょうど2年経過観察時の写真です。全く問題なく機能しております。
使用したCRはジーシーのグレースフィルで滑沢性を維持しております。2年経過しているにもかかわらず、研磨したてのように光っているのは驚愕です。
「割れる、壊れる」と言われ続けて、もう7年くらい施術していますが、多くの症例で良好な経過です。
仮に割れても減っても、容易に修理できる安心感があります。
セラミックの方が割れるし、トラブルが多いように感じます。
もうそろそろ臨床を見直す時期が来ているのではないでしょうか。
・注意事項
症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。
無断複写・転載は一切認めておりません。