前医による根管治療の失敗によって、歯根が大きくパーフォレーションしている状態でした。パーフォレーションをリペアし、オリジナル根管を探索・根管治療を施して保存した1年経過観の症例です。
6年くらい前に近所の歯科でインプラントとブリッジを自費で治療されたそうです。ブリッジ装着直後から、周期的に訪れる疼痛と腫れに悩まされてきたそうです。前医は右上4番の神経が原因と診断し、神経を取られてしまったそうです。当然のことながら、周期的な疼痛と腫れが治らず、施術した歯科医師に話したところ、機嫌が悪くなり患者さんに責任を擦り付けるような発言を受けたようです。
デンタルを見て言葉を失いました・・・。ひどすぎる。
ストローマンと思われるインプラントが傾斜埋入されており、天然歯と連結されている。天然歯とインプラントの連結はやってはいけない禁忌だ。
右上5番は根尖孔外にファイルかポイントのような異物が突き抜けてしまっている。
挙句の果てに疼痛と腫脹の原因を右上4番と誤診した可能性が濃厚だ。
自費で入れた高額のメタルボンドを再製作したくなかったのだろう。
装着されているインレーを除去することなく、咬合面から一気に切削した可能性が濃厚だ。
こんなやり方ではパーフォレーションするのは当然だ。
最後に怒って患者さんの責任にする。
呆れて言葉にもならない。
治療ではなく破壊をして、心が痛まないのだろうか。
こんな人間が同じ歯科医師だなんて悲しくなる。
パーフォレーションは想定を大幅に上回る範囲でした。歯根近心面はほぼ崩壊している状態でしたが、幸いにも歯周ポケットとの交通しておらず、閉鎖できると判断しました。
まず骨側に突き出ている異物を除去しました。迷入しなくて一安心。
パーフォレーション部分をジーシー社のMTAセメントで封鎖し、根管を作りオリジナル根管を探索、根管治療を施術しました。
ファイバーポストコアにて支台築造して、ダイレクトクラウンにて補綴完了。
インジェクションモールドを使用したモノブロック・レストレーションです。
成功してくれ!
1年経過観察です。その間に他の部位の治療をしておりましたが、疼痛や腫脹などの自覚症状が一度も発現することがなかったです。近心部分が排膿のように写っていますが、歯冠歯肉側の初期う蝕による白濁です。
デンタルレントゲン上も異常なし。ひとまず成功しました。長期で保存できてほしいです。
たまに違和感がでるが生活に支障がないようなので、インプラントおよび右上5番は慎重に経過観察することとしました。
・注意事項
症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。
無断複写・転載は一切認めておりません。