ダイレクトブリッジの治療方法

ダイレクトブリッジは多くの治療方法があります。その中でも、もっとも古典的な直接成型法を用いた3ピースユニットの制作方法を紹介します。

 


 ジルコニアフレームを併用したセラミックブリッジの予定でしたが、ダイレクトブリッジの提案をしたところ、了承いただいたため、ダイレクトブリッジに変更しました。本ケースの最大の利点は治療期間の大幅な短縮と費用の軽減です。

 

セラミックブリッジの場合、治療工程は以下のようになります。

① 13クラウンの除去、テンポラリーの制作

② テンポラリーにて形態および咬合の確認

③ 形成と印象

④ ジルコニアフレームの試適

⑤ ビスケットベーク試適による審美面と機能面の確認

⑥ ブリッジの装着

 

 最短でも6回の通院が必要であり、通院期間は3か月以上かかります。費用もダイレクトブリッジの2倍以上発生してしまいます。

 


 成形途中の写真です。

 まず、欠損に隣接する部分から造形します。13遠心面と15近心面の歯肉測の立ち上がりを作って、それに合わせた形でポンティック部を造形します。ポンティックに隣接する歯肉部分を埋めてしまうと清掃不可能になるので注意が必要です。

 繊維状の補強物を併用する先生もいますが、クラックや破折が発生した際に修理が著しく煩雑になります。また異種物を混合することで接着界面が多くなり、接着不良やコンタミなどのトラブル要因を増やします。そのため、私はモノブロックで成形しております。

 この方法はかなり時間がかかるため、現在は「インジェクション・モールド法」を併用しています。

 

 ダイレクトブリッジの場合、通院回数は驚異の1回です!費用も軽減できるうえ、トラブルが発生した場合、従来のブリッジに変更できます。

 


 完成直後の写真です。ダイレクトボンディングであるため、2番と3番の間のブラックトライアングルを埋めることができました。従来の補綴では不可能なアンダーカットへの対応も余裕です。口をずーーっと開けっ放しにしてくれた患者さんに感謝です。本当にお疲れさまでした!

 

 医療全体に言えることなのですが、生身の人間である以上、不確実性が伴います。今までの補綴治療は、そこに確実性を求めなければならないため、どうしても無理が生じます。成功率が低そうな場合、大掛かりな治療になってでも成功率を求めなければならない事情があります。

 ダイレクトブリッジは治療後に修正や修理、ほかの治療に変更できたり、着色が気になったら張替えも容易です。生きている人間の不確実性に「可逆性」で対応できます。


 3年経過した写真です。やや着色が進んでおりますが、おおむね良好に経過しております。3ピースのダイレクトブリッジは引っ張り応力が強く発生して破折やクラックが入ることがあります。そのため、咬合状態によっては2ピースにて進める場合もあります。

・注意事項

症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。

無断複写・転載は一切認めておりません。